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宅地並み課税の農地は売れるときに売るしかない [公共]

 小生が子供の頃、うちの農地は9反ほどあった。それが、小生と妹2人に高等教育を付けさそうと田んぼ1枚を売り、それから何年もせずして、また田んぼを1枚売り、それを資金にして田んぼ1枚潰してアパートを建てた。よって、農地は5反弱となった。
 親父名義の土地は少なかったから、親父が死んだときの相続税はたいしたことなかったが、土地持ちのおふくろが死んだときは、相続税をガッポと取られ、土地(農地を宅地にして貸していた)を借主に売ったりして、なんとか工面した。
 そして、おふくろの遺言で、妹2人に畑を1枚ずつあげることとし、不動産屋に売却した。さあ、そうなると、残った農地は4枚で3反弱。
 そうしたところ、自宅の1反弱の土地(1筆は宅地、1筆は農地)、これは大本家(本家の本家)から150年来の借地であって、近年は固定資産税+αのお礼で済ませていたのだが、大本家が代替わりしたことに伴って、スッキリさせようということになり、土地交換あるいは購入という話が進みだした。
 これで、また農地が少なくとも1枚は減る。
 今、田んぼ3枚、畑1枚あるのだが、畑は自分で耕作しているも、田んぼはもう40数年耕作しておらず、2枚は誰かに守りしてもらい、1枚は万年休耕田である。よって、田んぼ2枚を処分することとした。
 幸い、いい不動産屋に巡り合え、まあまあの値段で売れることとなった。
 こうなると、残った1枚の田んぼ、これも処分したくなる。不動産屋からも、まあまあの値段の提示があり、自宅の土地貸借が解決したら、これも売ろうと思っている。
 目論見どおりに事が運べば、小生の保有する土地は、自宅敷地(一部農地)、アパート兼店舗敷地、小さな畑1枚、猫の額ほどの貸地1枚、計4枚、2反強に縮小され、うんと管理が楽になる。
 小生、来月で71歳となる。東京で根を生やしてしまった息子や娘は岐阜へは絶対戻ってこないから、身辺整理を進めねばならない。土地もその一つだ。
 特に、農地は何かと管理が厄介だから、売れるときに売るしかない。出入りしている不動産屋が4社あるが、いろいろ話を聞いていると、今が最後のチャンスのようである。今後もじりじりと土地の価格は下がり続けるに決まっているし、少子化の影響で住宅用地の需要も間もなく減っていく。
 幸い、我が岐南町は格別に交通の便が良く、今もまだ少しずつ人口増加しており、これは住宅地需要が旺盛だからだ。近隣市町村からは、農地を売りたくても売れないというボヤキが聞こえてくる。いずれ我が岐南町もそうなろうが、そうなってからでは遅い。
 ついでだから付け加えておくが、農地を持っていることほど、あほらしいことはない。農振農用地なり市街化調整区域であれば宅地化できないから、相続税評価額は低いし、固定資産税は雀の涙ほどで済む。しかし、そうした区域でない場合は、農地の固定資産税は宅地並み課税がどんどん進み、うち辺りは今や1反10万円ほどの固定資産税が毎年かかってくる。加えて、相続税評価額は実勢価格の5割増しぐらいになるから、代替わりの度に田畑を1枚2枚と売らねばならない。そうした場合は、土地譲渡所得税は以前はほとんどかからなかったが、数年前の相続税法改正に伴って優遇制度は大幅に縮小され、けっこうな土地譲渡所得税がかかるようになり、踏んだり蹴ったりだ。もっとも、農地の相続人が少なくとも20年間耕作し続けられれば評価額はうんと安くなるが、そんな長い期間農地を守りできっこないであろうから、この制度を使う人はここらではまずいない。
 農地を持っていると、農業だけでは食っていけないし、市町村に払う毎年の固定資産税の積み重ねは無視できない金額となるし、代替わりすれば国に相続税をがっぽと取られるし、相続税を払うために土地を売れば土地譲渡所得税が取られる。弱い者に対しては、何でもいいから取れるところから取れ、というのが税金だ。
 もう一つ、ついでだが、我が岐南町は平成の大合併で市町村合併しなかった。その理由は、市街化調整区域がほとんどなく、まだまだたくさん残っているところの、あらかたの農地に宅地並み課税ができ、たんまりと固定資産税が入ってきて財政的に極めて裕福であるからだ。
 我が岐南町の大半の農家は兼業農家で5反程度の農地(多くは田んぼ)を持っている。毎年50万円ほどの固定資産税を払わされ、米づくりをしても利益はゼロだ。働いて稼いだ貯金は全部相続税(たぶん3千万円ぐらい)で召し上げられ、稼ぎが悪くて貯金が少なければ田畑を売るしかない。
 多くの農家は、先祖伝来の農地を売るのはやむを得ない場合に限るとして、儲かりもしない田畑を必死に守りしている。うちも、そうであった。特に小生はお祖母ちゃん子で育ったゆえ、お祖母さんから小生への遺言、「身上(しんしょう)は守らなあかん」を忠実に守ろうと思っていたのではあるが、こうまであれこれ税金を取られてしまっては身上を守ることが不可能な時代になってしまった。よって、土地を銭に換え、それをしっかり守るしかなくなったのである。なんとも情けない世の中になったものだ。

<備考:この“腹たち日記”の目的>
 怒りにしろ何にしろ嫌なことは早く忘れるに限ります。その一番の方法は「紙に書く」ことだと教えられました。それを教えてくださったのが、「みやざき中央新聞」編集部の西畑良俊さん。(2013年9月16日号の「取材ノート」の記事)
 詳しくは、下記の記事をご覧ください。
    クリック ⇒ 怒りは「紙に書いて」しっかり解消しよう
 小生とて、腹が立つことは度々あります。そうしたときは、このブログに殴り書きして(キーボードが壊れるぐらいに強く叩いて)ストレスを発散することにします。
 

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